第1回:トランスポータPC
いきなりですがデノンのCDトランスポータ「DP-S1」です。
DENON Museum - Model History - 1993 - DP-S1
CDトランスポータと言うモノをご存知でしょうか?
CDプレイヤは大雑把に以下の構成に二分できます。
駆動系:CDを読み取りデジタルデータを読み取る部分。
変換系:読み取ったデジタルデータをアナログデータに変える(D/A変換)部分。
CDトランスポータは駆動系だけで構成される製品です。
ですからアンプに直接繋げられません。
間にD/Aコンバータを挟む必要があります。
私はこのCDトランスポータの役割を自作のPCにやらせています。
トランスポータ用に組んだPCには以下の様なメリットがあるからです。
・CDを交換する必要が無い。
ハードドライブにCDからリッピングしたデータを格納すれば
大量の楽曲を一元管理できます。
・ノイズ源になる機械的駆動部品を無くせる。
ハードドライブと言えば一昔前までは
HDD(ハードディスクドライブ)を差しました。
しかしこのHDDの中にはプラッタ(記録円盤)を回すモータや
ヘッド(データを読み取る部品)を動かすサーボが組み込まれており
絶えず忙しく動き続け機械的なノイズを出しまくります。
ですが現在(2015年)はSSD(ソリッドステイトドライブ)が
かなり普及してきました。
まだまだ容量的にはHDDには敵いませんが
SSDには機械的な駆動部品が一切ありませんので
HDDに比べると遥かに低ノイズなのです。
また、CPUに低電圧なものを選択すれば
CPU用の冷却ファンも必要なくなります。
音声データを再生させるだけならグラフィックボードも省けますから
やはり冷却ファンは必要ありません。
つまり「音声データを再生させる」と言う事だけに専念させれば
PCの中から機械的な駆動部品を一掃出来るのです。
以上2項目だけですが、これだけでもCDを絶えず回転させ
データをシーク(記録されたデータを追う為にヘッドを制御する事)し続けている
CDトランスポータよりもメリットが大きい事が理解頂けると思います。
↑はティアックのCDトランスポータ「エソテリック P-0」です。
こんなにゴツくて重量も30kgあり、お値段も120万円と中々に豪華。
内部にはCDの回転ムラを抑える為の様々な工夫が沢山。
本体が重たいのもCDの回転による振動の悪影響を
内部的にも外部的にも抑える為です。
でも、トランスポータPCだったら、そんな構造は必要ありません。
駆動部が一切無いのですから軽くてコストもずっと低く済みます。
ただ、どっちが良い音を出すかは別の話ですね。
恐らく自作によるトランスポータPCは高級CDトランスポータの
足元にも及ばないでしょう。
ですが、コスト的にはトランスポータPCは有利だと思います。
「120万円で凄く良い音」と「10万もかけなくとも良い音」。
どちらを選ぶかは価値観次第と言う事です。